リボ払い(リボルビング払い)という言葉をクレジットカード会社からおすすめされたことがある方も多いのではないでしょうか。リボ払いは月々の支払額を一定にできる便利なサービスと紹介されますが、その仕組みや分割払いとの違い、そして本当にお得なのか気になりますよね。
本記事では、リボ払いの仕組みやメリット・デメリット、注意点に加え、手数料を抑えるコツや他の賢い支払い方法についてわかりやすく解説します。
リボ払いとはどういう支払い方法?

リボ払いとは、利用金額や回数に関係なく毎月あらかじめ決めた一定額を支払っていくクレジットカードの支払方法のひとつです。月々の負担を抑えられる一方、利息が発生して支払期間が長引きやすい点に注意が必要です。
リボ払いの特徴
リボ払い最大の特徴は、毎月の支払元金が一定になることです。利用額が多い月でも少ない月でも、事前に設定した金額を支払い、残りは翌月以降に繰り越していきます。繰り越した残高には所定の利率で手数料(利息)がかかり、支払総額は利用状況によって変動します。そのため、月々の負担を抑えられる一方で支払い期間が長くやりやすいという側面もあります。
また、リボ払いでは支払い方法を後から変更できるケースも多く、買い物時に一回払いで決済して後からリボ払いに切り替える「あとからリボ」など柔軟な利用が可能です。
リボ払いと分割払いの違い
リボ払いは毎月の支払金額が一定で、完済までの期間(支払回数)は利用残高で変わります。一方、分割払いはクレジットカードで購入した金額の支払いを複数回に分けて支払う方法で、買い物する都度、支払回数を指定するため、完済までの期間が明確にわかることがリボ払いとの違いです。
リボ払いは利用残高に対して毎月利息がかかりますが、分割払いでは各購入金額に対して所定の分割手数料がかかります(一般的に2回払いまで手数料無料、3回払い以上から手数料発生)。
つまり、支払額を自由に設定できる代わりに支払期間が不確定なのがリボ払い、支払期間が固定されている代わりに月々の支払額を自由に決められないのが分割払いと言えます。
リボ払いの3つの種類

リボ払いの支払方式は主に3種類(元利定額方式・元金定額方式・残高スライド方式)です。方式はカードによって選択できたり、クレジットカード会社によって決まっていたりしますが、それぞれ月々の支払額の計算方法に特徴があります。自分のカードがどの方式かを知っておくと、支払い計画を立てる際に役立ちます。
元利定額方式
毎月の支払金額を一定にする方式で、元金と利息(手数料)が支払額に含まれています。例えば「毎月の支払いを1万円」と設定した場合、その1万円の中に利息も含まれます。
月々の支払額が変わらないため計画を立てやすい反面、支払額に占める利息の割合が大きいと元金がなかなか減らず完済に時間がかかる点には注意が必要です。
元金定額方式
毎月の支払いに含まれる元金を一定額にして、別途、その月の残高に応じた手数料を加算する方式です。毎月の元金部分は一定なので、支払い開始当初は残高が大きく利息も多くなりますが、返済が進むにつれて利息額が減っていき、月々の総支払額も次第に減少していくのが特徴です。
そのため、初めのうちは支払額が大きくなるものの、後になるほど利息負担が軽くなるメリットがあります。
残高スライド方式
利用残高の金額レンジによって毎月の支払元金が増減する支払い方式です。例えば「残高10万円までは1万円、10万円超~20万円までは2万円」といった具合に、残高が一定額を超えると段階的に毎月の支払額(支払元金)が変わります。
残高が大きいときには早く返済が進むよう支払額も大きくなり、残高が減るにつれて支払額も減る仕組みです。ただし具体的な設定額や増減の基準はカード会社ごとに異なります。
リボ払いのメリット

リボ払いは、計画的に活用すれば家計管理の助けになるほか、急な出費に対応できるといった便利な点も多くあります。ここでは、リボ払いの利用によって得られる主なメリットを紹介します。
毎月の支払額を一定にできる
クレジットカードの場合は、大きな金額を出費が多い月に請求されると家計を大きく圧迫します。一方、リボ払いを活用すると、高額な買い物をした月でも支払額を一定に保てるため、支出の見通しが立てやすく計画的に返済できます。また、自分の収入と照らし合わせて無理のない額を支払金額に設定すると、返済もしやすくなります。
高額な出費でも利用しやすい
一度に支払うには負担が大きい高額なサービスや商品も、リボ払いで購入すると月の負担を抑えられます。例えばライブチケットや家電製品など、どうしても欲しいものがあるが一括払いでは厳しい場合でも、リボ払いにすれば少ない月々の支出で購入が可能です。急な出費やまとまった支払いが必要な場合に、支払いを平準化できるのは大きな利点です。
資金不足の緊急時に役立つ
給料日前など現金が不足しているタイミングでも、リボ払いで購入すれば必要な支出を先送りにできるため助かる場合があります。どうしても今すぐ支払わなければならない費用が発生したとき、翌月以降に負担を分散させられるリボ払いは心強い味方です。このように手元に余裕がないときでも決済できる点は、いざというときの救済措置となり得ます。
余裕があるときは繰上返済できる
リボ払いは柔軟性もメリットの一つです。毎月の決まった支払いに加えて、ボーナス月や手元に余裕があるときに追加で返済(繰上返済)することも可能です。臨時収入があったときに残高の一部または全額をまとめて返してしまえば、その後の利息を減らし支払い期間を短縮できます。このように、自分の状況に合わせて返済ペースを調整できるのはリボ払いの利点です。
リボ払いのデメリット

リボ払いは便利な反面、デメリットの理解も重要です。例えば高い手数料や返済長期化など、見逃せないポイントがあります。ここでは、利用前に知っておきたい主なデメリットを解説します。
手数料が高く支払総額が増える
リボ払い最大のデメリットは、手数料=利息負担が大きいことです。クレジットカードのリボ払い手数料は年15%前後に設定されているケースが多く、残高に対して毎月利息が発生します。例えば、20万円の商品をリボ払いの元金定額1万円コース、年15%で利用した場合、支払い完了まで1年8ヵ月かかり、約25,000円の手数料を支払う必要があります。月々の負担を抑えられても支払回数が増えるほど利息総額も膨らみ、結果として支払い総額が大きくなってしまう点に注意が必要です。
残高が増えても気づきにくい
リボ払いでは利用残高が増えていても毎月の支払額が一定のため、自分がどれだけ借金を抱えているか実感しにくいというデメリットがあります。利用明細をしっかり確認せずに気軽にリボ払いを繰り返していると、いつの間にか残高が大きく膨らんでいる恐れがあります。つまり、支払総額が増えていても日々の負担額が変わらないため危機感を持ちにくく、使い過ぎにつながりやすいのです。
支払いが長期化しやすい
支払い額が少額に抑えられる分、完済までに長い期間を必要とすることもリボ払いの欠点です。残高が増えると利息も増えるため、毎月一定額を返済してもなかなか元金が減らず支払いが終わらない状況に陥りがちです。支払い期間が長引くと、「あとどれくらいで返し終わるのか」「今どれだけ残っているのか」といった把握も難しくなります。特に残高スライド方式の場合、一定額を超えると毎月の支払額自体は増えるものの、それでも返済が追いつかなくなる恐れもあります。このように、リボ払いは完済までの道のりが見えにくく、計画的に利用しないと支払いがだらだらと続いてしまう点に注意しましょう。
リボ払いを利用する際の注意点

リボ払いを上手に活用するためには、利用前から利用後まで、以下のポイントに気を付けましょう。
[利用前]手数料や支払方式を必ず確認する
リボ払いの手数料と支払総額は、支払方式(元利定額方式・元金定額方式・残高スライド方式)によって大きく変わります。月々の最低支払金額も、利用金額で異なるのが通常です。手数料や支払方式は、クレジットカード会社の会員規約や公式WEBサイトで利用前に確認しておきましょう。また、各社が提供するシミュレーションを利用すれば支払いが終わる時期や残りの支払い総額を具体的にイメージできます。
[利用時]収入と支出を考えて計画的に利用する
リボ払いは毎月一定の支払額を支払う仕組みであるため、支払った元本以上の買い物をすると毎月支払いをしていても利用残高は増えます。また、手数料は利用残高によって計算されるため、利用残高が増えるほど手数料が増加し、元本の返済が遅くなります。
そのため、リボ払いの利用は、収入と支出を考慮し、無理なく計画的にいましょう。高額な買い物を立て続けにリボ払いで行うと、すぐに残高が膨らんで返済が難航する可能性があります。
[利用後]利用明細で残高や支払金額を把握する
リボ払いを利用したら、利用明細で利用残高や月々の支払金額、完済がいつになるかを確認しましょう。毎月、引落日の前に利用明細を確認すれば「気づいたら利用残高が想像以上に増えていた」といった事態を避けられます。また、リボ払いよりも金利が低いサービスを利用することで、支払総額を減らせます。
自動リボ設定は解除のタイミングに注意
カード会社によっては、カード全ての利用分が自動的にリボ払いになるサービス(いわゆる「自動リボ」設定)があります。便利な反面、設定を解除しない限り新たな利用分もずっとリボ払いになるため注意が必要です。自動リボを解除する際には、解除前の残高はそのままリボ払いで残るケースもあるので、解除前に残高や設定金額を確認し、必要に応じて一括返済などで清算することも検討しましょう。意図せずリボ払いが継続していたということがないよう、設定状況を把握しておくことが大切です。
リボ払いの手数料の計算の仕方

リボ払いの手数料(利息)は、利用残高に対して所定の年率をかけ、日割りまたは月割りで計算されます。多くのクレジットカードでは、毎月の締め日時点のリボ残高に年利を掛けて12ヶ月で割った金額が1ヶ月分の手数料となります(例:前月末残高×実質年率÷12ヶ月)。
例えば、年15.0%の利率でリボ残高10万円がある場合、10万円×15%÷12ヶ月=1ヶ月あたり約1,250円の手数料が発生する計算です。実際には日数計算や端数処理で多少前後しますが、年利15%前後ということは、毎月残高の約1.25%が利息として加算されるのと同じです。リボ払いを利用する際は、この利息負担を踏まえて支払い計画を立てましょう。
リボ払いの手数料を安く抑える方法

リボ払いを利用する以上、できるだけ手数料負担を軽減したいものです。以下に、利息を少しでも安く抑えるための方法をいくつか紹介します。
繰上返済や増額返済を活用する
もっとも確実に手数料を減らす方法は、繰上返済(追加の返済)や月々の支払額の増額です。余裕ができたときにリボ残高の一部を繰上返済すれば、その分将来発生する利息をカットできます。毎月の支払額も最低額ではなく少し高めに設定し、積極的に元金を減らしていきましょう。支払額を増やせば完済までの期間も短縮でき、結果的に支払う総利息を減らすことができます。
新規のリボ払い利用を控える
手数料負担を減らすためには、リボ払いの残高をこれ以上増やさないことも重要です。すでにリボ残高がある場合、新たなカード利用は極力一括払いや分割払いを選び、リボ払いを追加しないようにしましょう。残高が増えなければ利息の発生源も増えず、今ある残高の返済に集中できます。リボ払いは便利ですが、「便利だから」と何度も使ってしまうと利息がかさむ一方なので注意が必要です。
金利の低いローンに借り換える
リボ払いの残高が大きく利息の負担が厳しい場合、より低金利のローンに借り換えることも有効な手段の一つです。通常、クレジットカードのリボ払い金利(年15~18%程度)よりも、銀行のカードローン(金利年3~15%程度)の方が低金利である傾向があります。例えば、年15%のリボ払いから年12%程度のカードローンに借り換えれば、それだけで利息負担を減らせます。借りたお金でリボ払いの支払い残高を一括返済し、あとは低金利のローンを返済していく形です。ただし、新たにローンの審査に通過する必要がある点や、借り換え後も借金であることに変わりはない点には留意しましょう。
リボ払いがしやすいクレジットカード
サービス内容や手数料面で、リボ払いが利用しやすい代表的なカードをいくつか紹介します。
楽天カード

<公式サイト|https://www.rakuten-card.co.jp/>
「楽天カード」は初心者にも人気の高いクレジットカードで、リボ払いの使い勝手も良いことで知られます。楽天カードのショッピングリボ払いは元金定額方式を採用しており、月々の支払元金は3,000円から1,000円単位で自由に設定可能です。手数料率は一般カードで年17.64%、プレミアムカード等では年15.00%と設定されています。また、会員サイト「楽天e-NAVI」からあとからリボ払いや支払額の増額、一括返済などの手続きが24時間可能で、シミュレーターで返済プランを確認できるなどサポートも充実しています。ポイント還元率も高いため、計画的に使えばポイントを貯めつつ無理のない返済ができるでしょう。
JCB CARD R

<公式サイト|https://www.jcb.co.jp/ordercard/kojin_card/os_card_r.html>
「JCB CARD R」はJCBが発行するリボ払い専用カードです。すべての利用が自動的にリボ払いとなりますが、年会費無料でポイント還元率が高く設定されているのが特徴です。通常時でもポイント2倍(還元率1.0%)ですが、リボ払い手数料が発生した月はポイント4倍(還元率2.0%)になる特典があります。高還元ではあるものの、その恩恵を受けるには手数料を支払う必要があるため、ポイント目的で無理に利用するとかえって損になる点には注意が必要です。JCB CARD Rは「リボ払いを上手に使えばポイントも貯まりやすい」というメリットがありますが、支払い管理を徹底して使いこなすことが求められます。
三井住友カード(マイ・ペイすリボ)

<公式サイト|https://www.smbc-card.com/mem/revo/mypace.jsp>
三井住友カードでは、通常のクレジットカードに「マイ・ペイすリボ」という自動リボサービスを付加できます。これに登録すると、全ての利用分が自動的にリボ払いとなり、所定の条件を満たせば翌年以降の年会費が無料または半額になる優遇があります。金利は通常年15%程度です。自動リボゆえ、設定額を低くしすぎると手数料が発生してしまうため、自分で適切な支払額を設定して運用する必要があります。
リボ払い以外の賢い金策(支払い方法)

リボ払い以外にも、出費がかさんだときに役立つ支払い方法や資金繰りの手段があります。自身の状況や目的に応じて、以下のような方法も検討してみてください。
分割払いを活用する
高額な買い物をしたい場合は、リボ払いではなく分割払いの利用も選択肢です。分割払いであれば、例えば「3回払い」「6回払い」など支払回数をあらかじめ決めて計画的に返済できます。支払期間が明確なので完済までの見通しが立てやすく、余裕があるときは途中で繰上返済することも可能です。
一般に2回払いまで手数料がかからないカードも多いため、小分けにして早めに払い切るなら利息負担ゼロで利用できます。毎月の負担を平準化しつつ支払いを終わらせたい場合には、無理のない範囲で分割払いを活用すると良いでしょう。
カードローン・フリーローンを利用する
どうしても現金が必要な場合や、リボ払いの金利負担が重いと感じる場合は、銀行のカードローンやフリーローンを検討する方法もあります。銀行系ローンはリボ払いより金利が低め(例:年3~15%程度)に設定されていることが多く、借り換えや新規借入によって結果的に支払う利息を減らせる可能性があります。
例えば、まとまった資金が必要なときにカードローンで低金利で借り入れ、それをリボ払いの代わりに充当すれば利息負担を抑えられる場合があります。ただし、借入額が大きくなると返済が長期化する点は同じなので、計画的な利用と早めの返済を心がけましょう。
<おすすめ記事|初心者必見!借りやすい消費者金融の選び方とおすすめランキング>
スマホ後払いサービスを利用する
最近では、スマホ決済の後払いサービス(いわゆるBNPL:Buy Now Pay Later)も普及してきています。例えば、メルペイの「スマート払い」やPayPayのあと払い、Paidyなどを利用すれば、翌月や数ヶ月に分けて支払うことが可能です。これらのサービスは手元に現金やクレジットカードがなくても決済できるメリットがあり、ものによっては分割手数料が無料のケースもあります(例:Paidyの3回払いは手数料0円など)。
ただし、使い過ぎると後でまとめて請求が来る点は同じなので、「今は払わなくていいから」と安易に利用しすぎないよう注意しましょう。あくまでも短期的な資金繰りを助ける手段として、小額・短期間での利用に留めるのが賢明です。
ポイントやマイルを有効活用する
日頃からクレジットカードやキャッシュレス決済で貯めたポイントやマイルを活用するのも、実質的な節約になります。例えば、楽天カードなら貯まった楽天ポイントをカード利用代金の支払いに充当できますし、他のカードでも商品券やキャッシュバックに交換できる場合があります。ポイントを有効に使えば、その分現金やクレジットで支払う額を減らせるため、結果的に借入れを抑える効果があります。リボ払いの利息はポイント還元では到底取り戻せないケースがほとんどですが、ポイントを使って出費自体を減らす工夫をすれば、リボ払いに頼らなくてもやりくりできる場面も出てくるでしょう。
リボ払いは計画的に賢く使おう
リボ払いは毎月の支払額を一定にできる便利な仕組みですが、その反面高い利息や返済の長期化といったデメリットもあります。利用する際はメリットとデメリットを正しく理解し、自分の収入に見合った計画的な利用を心がけることが大切です。
また場合によっては分割払いなど他の支払い方法や低金利のローンを検討し、利息負担を減らす工夫も必要でしょう。リボ払いと上手に付き合って、無理のない賢い資金管理を実現してください。